妊娠中の歯科治療と口腔ケア
妊娠中の歯科治療は心配なものです。
下記の問答集は、保健所に寄せられた相談内容に基づいて作られたものです。
Q1 現在、妊娠3ヶ月です。歯の治療はできますか?
A 歯科治療は、できるだけ安定期(妊娠5〜9ヶ月頃)に行う事をお勧めします。
Q2 レントゲンを撮って、おなかの赤ちゃんに影響しませんか?
A お母さんの歯は、おなかから離れているのに加え、防護のエプロンをしていただきますので、
赤ちゃんが被爆する量は限りなくゼロに近く、影響は全くないのに等しいことがわかっています。
・妊娠中の被ばく時期と影響
受精後10日まで→催奇形性なし
妊娠10週まで→大量では催奇形性あり
妊娠27週まで→10〜17週までは精神発達遅滞のリスクあり
妊娠末期→小児がんのリスクあり
とされていますが、通常のX線検査では問題はありません。
Q3 口の中に麻酔をしても、おなかの赤ちゃんに影響しませんか?
A 影響しません。
歯科治療用麻酔は、全身麻酔ではなく局所麻酔です。
そのうえ血管収縮剤が入っているため、治療する歯の周辺にしか麻酔薬は停滞しません。
おなかの赤ちゃんへの影響は心配ありません。
Q4 抗生物質などを服用しても赤ちゃんに影響しませんか?
A 抗生物質であればペニシリン系やセフェム系を、鎮痛剤はアセトアミノフェンが
安全であることが産婦人科学会の見解で明らかになっています。
Q5 母親が "歯槽膿漏" だと早産や低体重児出産の可能性が高いと言われますが、本当ですか?
A 歯周病菌が出す内毒素が子宮を収縮させるホルモンと似ているため、
早産や低体重児出産を引き起こすと言われています。
歯周病と診断された方は、妊娠中からの治療をお勧めします。
Q6 むし歯菌が感染するというのは本当ですか?
A 本当です。
むし歯菌の中の悪玉であるミュータンス菌は、新生児には存在しません。
お子さんが離乳食を摂取する生後1.5才から2.5才くらいの間に、食器やスプーンなど
を通して周囲の両親や兄弟姉妹から唾液を介して感染することが分かっています。
しかし神経質になりすぎる必要はありません。
遅かれ早かれ、お子さんの成長や広がる生活環境の中で、必ず感染します。
細菌感染とむし歯発症は次元が異なるとも言われ始めています。